【ウェブアニメ探訪】丸山薫さんの漫画「西域奇譚集(壱)」

2008 03/13亜樹28号

 昨年(2007年)、「二二九」「吉野の姫」などのFlashムービーでお馴染みの丸山薫さんが、自主製作漫画本 「西域奇譚集(壱)」を制作され、暮れの冬コミ(2007年12月31日に開催されたコミックマーケット)と今年に入ってのコミティア(2008年2月10日開催)にて個人販売されました。本書は、巻頭に自身のショートアニメ代表作とも言うべき「二二九」の漫画バージョンを載せるなど、ファンには馴染み深いキャラクター「レンレン」をメインに置いた物語5本によって構成されているという、まんざらウェブアニメファンに無関係とも言えない作品集だと思います。
 そこで今回の「探訪」はちょっと変則ですが、漫画「西域奇譚集(壱)」について、丸山薫さんにお話をお伺いしました。

<丸山薫プロフィール>
東京都在住のイラストレーター。電撃文庫「シュプルのおはなし」シリーズの挿絵などを手がける一方、2002年からFlashを始め、オリジナルアニメーションをWebサイト「MARU PRODUCTION」で公開中。「キャラクター・デザイン・バイブル」(グラフィック社)ではビットマップFlashを扱ったFlashアニメ講座も連載。ショートアニメムービー作品 「吉野の姫」は多くのアニメーション映画祭で評価を受けている。

◆Flashにまとめきれないプロットを漫画に

——「西域奇譚集(壱)」を作ることにしたキッカケを教えてください。

以前から本を作ってみたいとは思っていました。なかなか具体的な行動には至らなかったんですけど。
 コミケにも行った事がなかったのですが、去年、知り合いの方が何人も出展されるという事で初めて夏コミに行ってみまして、実際に会場の様子を見たりいろいろな同人誌を手にしたりするうちに、急激にテンションが上がってしまって。気がついたら次回の申込書を買ってました(笑)。

——なるほど。じゃあ、コミケ前提で作られたんですね。

 そうですね。漫然といつか作りたいと思っていると結局いつまでたっても着手できないので、コミケ参加という〆切を作ってちょっと自分を追い込んでみたという事ですね。そのプレッシャーのおかげで何とか完成に漕ぎ着けられた感じです。ものすごくきつかったですが。

——「西域奇譚集(壱)」には4本の漫画が収録されていますが、ストーリーは?

 「二二九」はネーム労力節約のため、既存のFlashアニメーション作品のリサイクルです(笑)。古いところでは、「ネン」という話などは5年ぐらい前にFlashアニメーション用のプロットとして考えたものなんですが、その後なかなかアニメーション制作に手をつけられなくて、このままだと永遠に世に出なさそうなのでこれを機に漫画にする事にしました。
 「黒河」と「莫賀延磧」は断片的なイメージだけあったのを一気にまとめて作った話です。
 それと、かなり重要なんだけど今回どうしても間に合わなかった話があるので…じゃあそれは次回に回して、今回は第1巻にしようという事で「西域奇譚集」の「(壱)」だったりします。

——読んでみると、大変読み応えがあって驚きました。漫画を描くのは初めてなんですか。

 一応ちゃんとした形でのオリジナル、という意味ではそうですかね。大昔に大学ノートに鉛筆で描いたしょうもないものを友人に見せたり、とかはありますが。あと仕事で、テキストとかDMとかみたいなものを描いた事はあります。

——そうなんですか。もちろん読み応えだけではなく、漫画としてとても上手だと思いますし、世界観とか雰囲気とか「丸山さんらしい漫画」とも感じました。いわゆる週刊漫画雑誌と言うのではなくて、ちょっと尖った作家さんを集めて刊行しているような月刊誌や季刊誌などに載っていても、まったく違和感ないように感じますが…。出版社などに持って行こうという気持ちは?

 今のところ全然ないです。漫画のスキルも全然身に付いてないですし、漫画の仕事ってものすごく大変そうなので…。当面は趣味として、自分の好きなものを好きなペースで描いて行こうと思っています。

——今回は実質どれくらいの期間で描かれたのですか?

 ネームは、冬コミ申込後の9月ぐらいから空いた時間などにちょろちょろやってましたが、実際の作画はかなり無理して1ヶ月ほどですね。朝から晩まで、というか朝から朝まで描いてました。

——制作はペンとインクとかで?

 いえ。鉛筆で描いた線画をスキャナで取り込んで、Photoshopで調整してベタとアミ掛けをしています。カラーイラストやアニメーションの時も基本的に鉛筆描きの線画をスキャンしてPhotoshopで着色(アニメーションの場合さらにそれをFlashやAfter Effectsに読み込んでオーサリング)、という形です。つけペンはほとんど使った事ないです。以前はミリペンを使っていましたが、やはり鉛筆の線が好きなので。

——じゃあ、漫画制作専用のソフトとかも。

 使った事ないです。

——今年の夏コミには、また出展されるんでしょうか。出すとすれば、内容については、どのような感じになりそうですか?

 一応、申込はしてますので受かれば参加します。今のところ、当サイトで公開している「海防点景」というイラストノベルFlashに出て来る、リンカというキャラクターを中心とした話の本を作る予定です。

——今後、電子出版とかDL販売とかで「西域奇譚集(壱)」を出版する気持ちなどはありますか?

 う〜ん。個人的には電子出版はあまり好きではありません。動画や音などの要素があるものはもちろん別ですが、文字とか漫画とかの「読むもの」については、紙でできた「本」という形態の方が絶対イイ!という偏見があります。古い人間なもので。特に「西域奇譚集」は本として作ったものなので、本の形で読んで頂きたいですね。

——今年もいろいろお忙しい丸山さんですが、新作のFlashムービーの制作とかは、ひょっとしてまだまだ先ですか?

 当面ないと思います…。す、すみません(汗)。

——ありがとうございました。
でもいつの日か、是非「ネン」もアニメーションにしてください。期待して待ってます。


丸山さんの個人サイト「MARU PRODUCTION」では、2回のイベント販売での在庫を通信販売する旨の告知もありますので、興味のある方は是非サイトをチェックしてみてください。 「西域奇譚集(壱)」オススメです。
(本日、販売開始されました)

◆「西域奇譚集(壱)」全68ページ収録作品  カバー&カラー口絵付き

・ 二二九/10ページ
4年に一度、レンレンに届く手紙たち。さて今年は誰からの手紙が届くのでしょう。
アニメ版は「MARU PRODUCTION」にて配信中です。

・ネン/27ページ
年に一度、旧暦の大晦日にしか出現しない「化け物」。
レンレンの住家に押し入った盗掘者が遭遇したものとは…。

・黒河(ヘイホー)/10ページ
ひたすらの砂漠を旅するレンレンのサイレントストーリー。

・莫賀延磧(ばくがえんせき)/12ページ
「わたしはお前だ」砂漠の夜にレンレンが遭遇した不思議な存在とのお話。

・雪虫の知られざる生態#1#2/各1ページ
本編の幕間ともいうべき4コマ漫画。
この他にも丸山ワールドに住む不思議な生き物の紹介などを見ることが出来ます。


【関連サイト】
・MARU PRODUCTION /丸山薫
http://maruproduction.com/
・西域奇譚集(壱)販売ページ
https://host.firstcabin.org/~usr126720/order/

・コミックマーケット公式サイト
http://www.comiket.co.jp/
・COMITIA
http://www.comitia.co.jp/


【mixi「ウェブアニメが好き」コミュ管理人・亜樹28号/20080312-16】
今回お話を伺うにあたり丸山さんには、お忙しい中、本当に快く対応して頂きました。多謝。

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