【ウェブアニメ考察】その2:名称にまつわる状況を確認してみる
◆「Wikipedia」などに於ける「Webアニメ」の説明文を考察
1年前『僕が観た「ウェブアニメ」』というコラムを書いた頃には、ネット上の辞書・検索系サイトでは「はてな」にしか見当たらなかったと思われる「ウェブアニメ」についての記述ですが、今年に入って偶然「Webアニメ」という項目が「Wikipedia」に立っているのを見つけました。個人的にはニュースだったので、またちょっと全文載せてみます。
・Wikipedia>>Webアニメ(2008年4月15日時点)http://ja.wikipedia.org/wiki/Web%E3%82%A2%E3%83%8B%E3%83%A1
Webアニメ(うぇぶアニメ)とは、インターネット環境での公開を前提に制作されたアニメ作品を指す。日本国外ではOVA(オリジナル・ビデオ・アニメーション)になぞらえて「Original Net Anime」(ONA)と呼ばれることがある。
なお、「既存のテレビアニメのストリーミング配信やPV配信」は当項の対象としては扱わない。
[概要]
ダイヤルアップ接続などネット回線の速度が十分でなくても閲覧できるように、解像度が低くても内容が分かる、ファイルサイズを小さくするためFlashで制作する、などの工夫がなされていることが多い。
古くから自主制作アニメを発表・投稿する動きは見られたが、インターネットの普及とパーソナルコンピュータを用いたアニメーション制作ツールの高機能化により、それに合わせて個人ならびに少数で制作した2D・3Dアニメ作品がインターネットで公開される動きも見られていった。小さなものではGifアニメによるショートアニメやループアニメを公開することもあり、また、Flashの普及とともにFlashを用いたアニメ制作の手軽さに着目して、Flashムービークリエイターの作品発表の場としても活用されている。
その後、光ファイバー回線網の普及など、大容量のデータを取り扱えるブロードバンド環境の整備が進み、テレビ放送並みの放映品質での配信も可能となった事から、さらに増加の兆しを見せている。
一見、かなり現状に即した記述ですし、[概要]の記述も分かり易いです。「はてな」の説明よりは、現状に近いようにも感じられます。また、この他にも検索して探してみたところ「インターネット用語辞典用語」というサイトに『ウェブアニメ』と言う項目がありました。以下がその全文になります。
・インターネット用語辞典用語>>ウェブアニメhttp://dentena.net/dictionary/word/3d5bdf107de596ce77e8ce48a61b585f52bbb61d
ウェブ上で公開されるアニメ。個人や少数人数でアニメーションgifやFLASHを用いる事が多く、従来の方法よりも手軽に製作出来る。ウェブという性質上世界中の人が視聴者となる為、注目を集めやすい。
コチラは若干食い足りない説明のような気もしますが、『ウェブという性質上世界中の人が視聴者となる為、注目を集めやすい』という点は「Wikipedia」にはありませんが、特徴を旨く言い表していると思います。
「Wikipedia」にある『TV放映後のストリーミング配信と言われるアニメに関してはWeb配信されていても「Webアニメ」とは呼ばない。』と言うのは、僕も同様な認識だと思いますが、『インターネット環境での公開を前提に制作されたアニメ作品を指す』という解釈には抵抗があります。例えば現在個人サイトなどで配信されている自主制作系アニメーションの全てが「インターネット環境での公開を前提に制作された」とは言えないのではないか、と言う点。まぁ、揚げ足取りのような見解なのも承知ですが、その辺り、あえて拘りたい気持ちもあります。
また、別件になりますが先日ITmediaのサイトに以下のような記事がありました。ニコニコ動画の新コンテンツ「ニコニコアニメチャンネル」についての記事です。
・ニコニコ動画に「アニメチャンネル」?http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0803/10/news085.html
「ニコニコ動画」に、「ニコニコアニメチャンネル」という新コーナーが設置されるようだ。「ペンギン娘 はぁと」「Candy☆Boy」というアニメ2作品が、4月以降に同チャンネルで配信されることを告知するWebサイトが3月10日までに公開された。
両アニメの告知ページには、ペンギン娘 はぁとは4月19日から、Candy☆Boyは5月2日から、ニコニコ動画内の「ニコニコアニメチャンネル」で配信される、と書かれている。
「ペンギン娘 はぁと」は、週刊少年チャンピオンなどで連載された、高橋てつやさん作のギャグ漫画「ペンギン娘」のアニメ化作品のようだ。Candy☆Boyは、ニコニコ動画やGyaOなどで配信されたAIC(アニメインターナショナルカンパニー)作のWebアニメで、アニメチャンネルでは続編が配信されるようだ。
この記事ではAIC企画制作の「Candy☆Boy」を「Webアニメ」と報じています。「Wikipedia」に準じて『インターネット環境での公開を前提に制作された』という点で言えば間違いではありませんし、僕も取り立ててこの記事で言う「Webアニメ」の捉え方に異議を申し立てたりするつもりはありませんが(「ウェブアニメ」と「Webアニメ」が同じものか、という解釈など諸々も含め)そうした名称に対して、ユーザーは勿論、メディアもまだまだ首尾一貫した捉え方をしていないようで、ちょっと戸惑いを感じます(客観視して、と言うよりも僕も含めて、その渦中なわけですが)。
それから「Candy☆Boy」という一作品だけのことではなく「ニコニコアニメチャンネル」というコンテンツ自体「Wikipedia」の説明に照らし合わせれば「Webアニメ」(サイト)に該当することになりますが、多分「ニコニコアニメチャンネル」が自ら「Webアニメ」を名乗ることはないように感じますし、この辺りの捉え方の判断が微妙な気はしています。記事にあるように配信作品「ペンギン娘 はぁと」は週刊少年チャンピオンなどで連載された漫画を原作にしているコトなどから、少なくとも、「ウェブアニメが好き」コミュで定義する「ウェブアニメ」には該当しません。また、こうしたWeb限定でのアニメーション作品の配信は、動画共有サイトでは初めての試みですが、Web配信のみで視聴することの出来るオリジナルアニメーションは、Yahoo!動画やgooアニメなどの、いわゆるプロバイダー系のポータルサイトでは過去にも多くのアニメーション作品(課金システム、無料配信を問わず)が配信、視聴されている背景もあります。双方の決定的な違いは何なのかと言えば、ニコニコ独特のコメントシステムに他なりません。
結局、これは基本的にカテゴリ認識の話なので僕自身「ニコニコアニメチャンネル」の試み自体を批判しているつもりはありません。むしろ、経済効果的な意味では是非成功して、アニメビジネスの新たなステージを築いて欲しいようにも感じています。
・ニコニコアニメチャンネル
http://anime-ch.nicovideo.jp/
・AIC>>Candy☆Boy
http://www.anime-int.com/works/candyboy/
ココまで書いてきて思うのは、もしかすると、「Wikipedia」で「Webアニメ」と表記された対象のアニメーションは「商業作品についての認識」なのではないか(?)ということ。それならば「TVアニメ」に対しての名称として「Webアニメ」であり、『インターネット環境での公開を前提に制作されたアニメ作品を指す』という説明で納得です。もしそうであるのなら、TVアニメの場合はTV放映された時点で商業作品(プロの仕事)ですから、差別化は必要ありませんが、Webの場合は「商業ウェブアニメ」と称するべき作品と「アマチュアウェブアニメ」と捉える作品があるのだと言えます。そう考えれば確かに「商業ウェブアニメ」に相当する作品に関しては、現在(2008年4月15日頃)の「Wikipedia」の説明で充分に思います。
他にも「ウェブアニメ」をキーワード検索すると、以下のような記事(2006年版ですが)もあります。企業PRのWeb配信向けのオリジナルアニメーションです。
・_決めたのは〜…作曲&歌の奥華子キャラにWebアニメ
http://www.zakzak.co.jp/gei/2006_11/g2006112105.html
企業PRのWeb配信向けのオリジナルアニメーションの試みは、前回の『僕の見た「ウェブアニメ」』でも、通信会社のサイトで作られたアニメーション「さみしっぽちゃん」について少し触れていますが、昨年から今年の初頭で言えば、YAMATOWORKSの森田修平さんが監督をされた食品会社の商品PRも兼ねたオリジナルアニメーション「FREEDOM」も、期間限定の本編ネット無料配信を旨く使い、商品やDVD販売も含めたアニメ作品のPRを行っています。こうした「Web配信アニメーション」の形式をどうカテゴライズするのかも、今後の課題だと個人的には感じています。
・FREEDOM
http://freedom-project.jp/?filenumber=1061
他には、例えば「アニメイト」というサイトでは「アニメイトTV」というのがあって、そこでは「ケロロ軍曹」などの配信を「Webアニメ」と称している現実もあります。これは、可笑しいと言うよりも、やはりそうした現状認識が現実としてあるのだ、と理解するべきでしょう。ちなみに、「アニメイトTV」で、こうしたアニメーション配信をいつ頃から「Webアニメ」と称しているかは確認していませんから、2006年2007年の間のコトかは定かではありません。
・アニメイトTV.web
http://www.animate.tv/pv/index.php?m=a
こうしていろいろキーワード検索してみると、「ウェブアニメ」や「Webアニメ」という名称は以前と比べてメディアで使われることが多くなっていることが分かります。ですが、やはりこうしたカテゴリ名称は、基本的にはクリエイターさん自身にはあまり関係はなくて(意識はしていなくて)、作品を報道するメディアや、配信サイト、僕のやっているファンコミュ・ファンサイトなど「似たような出所の作品」を総じて語る際に必要になってくるものなのだろうという思いを深めます。それから、やはり作品をスポンサーなどに「売り込み」をする際に、エージェント会社等にとっても便利な名称(カテゴリ)なのではないかと考えます。「産業」としてのレベルまで、ネット配信のアニメーションが成功を収めることは色々な意味で、期待すべきことではありますが、そのことでアニメーションに纏わる業界構造がどう変るか、変った方が良いのかというところまでは、当然ながら今の僕の考察の及ぶところではありませんが(汗)。
◆「ウェブアニメ」イコール「Flashアニメ」なのか
あと、また細かい話で申し訳ありませんが、現状を認識するのには興味深い話で「IZA」でのU.C.Macalieさんの1月23日のブログ記事を紹介してみます。本文中に再度リンクもありますし、少し把握し難い内容かもしれませんが。
・まだまだ折り合いが悪いWeb業界とアニメ業界
http://macalie.iza.ne.jp/blog/entry/458703/
U.C.MacalieさんはWeb上に度々名前を変えて寄稿している、知る人ぞ知る事情通のライターさん。個人・少人数制作アニメーションとその関連業界に思慮深いことで有名な方です。以前、僕はmixiを通じて知り合ったやはり業界に詳しい方に「ウェブアニメ」名称に纏わるお話を伺ったことがあって。掻い摘んだ話ですが、曰く『もともと「ウェブアニメ」と言う名称は「Flashで制作されたアニメーション」を業界に浸透させるために使用された名称なので、業界(CG業界、アニメ業界、それに纏わる出版業界など)では多くの人が「ウェブアニメ=Flashアニメ」であると、ほぼ共通認識を持っているはず』との認識が現実的だと。そうしたことを踏まえても、今回のように「Wikipedia」に於いて「Webアニメ」の解説が突然書かれたとしても、それが一般に浸透し定着するのかは分からないし、定着すると仮定しても、それにはとても多くの時間が必要かと思われます。また、このこと(「ウェブアニメ=Flashアニメ」という観念)は、例えば「アニメーション神戸」の「Webアニメコンテスト」の募集要項(レギュレーション)を見ても何となく察することが出来ます。
また、別の視点ですが…「アニメーション神戸」が「Webアニメコンテスト」というカテゴリを作っているのも、時代の変遷と言う意味では興味深いです。
・アニメーション神戸
http://compe.japandesign.ne.jp/ap/01/degi/web_anime12/
そうしたことを踏まえて、「IZA」のU.C.Macalieさんのコラムを読むと、後半に出てくる「ネトアニのレギュレーションの変更」に着目した真意も読み取れますし、徐々に(理由は不鮮明ですが)一般に『「ウェブアニメ」や「Webアニメ」が「Flashで制作されたアニメーション」のみを指して使う名称ではなくなってきたのかも知れない(?)』ということに対する、ある意味の「着目」のように感じますし、「時間の変遷」「浸透の過程」が微妙に読み取れる文章なのかも知れないとも思ったりします。大変興味深い話だと思います。
そして、今後「ウェブアニメ」「Webアニメ」をどう定義していくのか、「Wikipedia」に書かれているように、「インターネット環境での公開を前提に制作されたアニメ作品を指す」というコトが定着して行くのだと仮定すれば、例えば2000年に携帯配信を意図したFlashアニメの「デジガール」と言う作品がFlashで作られ、配信もされていたみたいなので「Webでの配信を目的で作られたアニメーション」ということで言えば、個人的には、この「デジガール」はかなり早い段階での「Webアニメ」ということになるのではないかと思っています。僕自身、実際配信作品を視聴したことは無いのですが、記事では一応「Flashアニメ」とされています。
ちなみにその後、このシリーズは「デジガールPOP!」としてTVシリーズにシフトされたようです。
・松下など3社、ウェブアニメの携帯電話などでの配信を共同展開
[2000年12月1日:ACCII24>>ニュース>>サービス/コンテンツ]
http://ascii24.com/news/i/serv/article/2000/12/01/620330-000.html
・デジガールPOP!/Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%87%E3%82%B8%E3%82%AC%E3%83%BC%E3%83%ABPOP!
それに伴って考えると、mixi「ウェブアニメが好き」コミュでは「スーパーミルクちゃん」なども、青池良輔さんの関連として紹介していますが(デザイン、原案は田中秀幸さん)、その誕生も、やはり2000年頃(この時期は海外で「Happy tree friends」が人気だったので、その影響があったのかも?)。でも実際は「ミルクちゃん」は、もともとスペースシャワーTVでの放送されたのが始まりで、Web配信自体はけっこう最近のことかも知れません。
そうした形態は「ウサビッチ」も同様と言えます。もし「ウェブアニメ」を「Web配信を目的とした…」と拘れば「ウサビッチ」や「スーパーミルクちゃん」なども該当しないコトになりますが、両作品は「現在Web配信されている」と言う点、「個人制作系の作家性の強いアニメーション」と言う点、既成の「アニメーション業界の枠では捉えきれない作品」と言う点で、「ウェブアニメが好き」コミュでの「ウェブアニメ」の定義に該当する作品と捉えていますが、一般的な認識が現時点でどうなっていて、これからどういった名称でカテゴライズされていくのかは分かりません。
というコトで…今後もこうした「ウェブアニメ」に纏わる状況は、出来るだけひとつひとつ確認しつつ、把握していくように努めたいと思っています。もうホントに、どうでも良い観念(?)の話だと思いますが…。スミマセン。
今回は、多分、昨年末か今年初頭辺りに「Wikipedia」に立てられたと思われる「Webアニメ」という項目による「定義」とも受け取れる「説明」を元に、いろいろ現状と照らし合わせて考えてみました。要は「Wikipedia」をそれほど真に受けるのもどうか、と言う話かも知れません。とは言え、勉強不足、考察不足な点もあるかと思います。もし、事実の誤認やご意見などありましたら「animeflash内:亜樹28号あて」にメールなど頂ければ対応いたします(animeflashはブログ形式を取ってますが、コメント欄とか無いので…汗)。
次回は「ウェブアニメ」という視点に立った「動画共有サイト」の考察。前回にも触れた「さかのうた」や「ニコニコ動画」に於けるウェブアニメということで、「護法少女ソワカちゃん」やDTMソフト「初音ミク」他の「ボーカロイドPV」作品なども絡めつつ、作品紹介や作品考察的なことも書いてみたいと思います。
<つづく>
【mixi「ウェブアニメが好き」コミュ管理人・亜樹28号/20080412-19】
ちなみに、僕が「ウェブアニメ」と称するのは(プロアマ問わず、有料無料を問わず、個人サイト動画配信サイト問わず)Web上で視聴できる作家性の強いオリジナルなアニメーションのことです。
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